経営判断原則とは|取締役責任が否定される判断基準と判例

経営判断原則とは、取締役が経営上の判断をした結果、会社に損失が生じても、結果だけから直ちに善管注意義務違反とはせず、判断当時の情報、調査・検討の過程、判断内容の合理性を踏まえて責任を判断する考え方です。ビジネスジャッジメントルールとも呼ばれます。

もっとも、「経営判断だった」と説明すれば責任を免れる制度ではありません。調査すべき事実を確認せず、社内の限度額を無視し、自己や関係者の利益を優先し、又は取締役会へ重要情報を隠した場合には、経営判断として尊重されない可能性があります。

  • 経営判断原則は、損失という結果ではなく、判断当時の過程と内容を評価する考え方です
  • 必要な情報収集、代替案の比較、リスク検討、適切な会議・決裁が重要です
  • 弁護士や公認会計士の意見は有力な事情ですが、取得しただけで免責されるものではありません
  • 法令違反、利益相反、虚偽説明、社内ルールの無視は別途厳しく検討されます
  • 少数株主側では、後から作られた説明ではなく、意思決定時に存在した資料を集めることが重要です

坂尾陽弁護士

赤字になった、買収価格が高かった、投資が失敗したという結果だけでは、取締役責任は決まりません。決裁した時点で何を知り、何を調べ、なぜその選択をしたのかを資料から確認します。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年  京都大学法学部卒業
2011年  京都大学法科大学院修了
2011年  司法試験合格
2012年~ 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

弁護士 坂尾陽

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経営判断原則とは

取締役は、会社との関係で善管注意義務を負い、任務を怠って会社に損害を生じさせた場合には、会社法423条1項に基づく損害賠償責任を負うことがあります。一方、企業経営では、将来の需要、競争環境、資金調達、事業再編など、不確実な事情を踏まえて迅速に選択しなければならない場面が少なくありません。

後になって失敗が判明したというだけで取締役に責任を負わせると、取締役が必要な挑戦まで避け、会社にとって有益な意思決定が妨げられるおそれがあります。そこで裁判では、将来予測を伴う専門的な経営判断について、事後的な結果だけでなく、判断時点の事情を基準として、意思決定の過程と内容に著しく不合理な点があったかを検討します。このような審査の考え方が、一般に経営判断原則又は経営判断の原則と呼ばれています。

経営判断原則という名称の免責条文が会社法に置かれているわけではありません。取締役の善管注意義務違反や任務懈怠の有無を判断する際に、裁判例上用いられている考え方です。裁判例ごとに表現や重視する事情には違いがあります。

したがって、少数株主が責任追及を検討するときも、単に「判断が失敗した」と主張するのでは足りません。どの時点で、誰が、どの資料に基づき、どの選択肢と比較し、どのリスクを受け入れたのかを特定する必要があります。任務懈怠責任の全体像は、取締役の任務懈怠責任と会社法423条で詳しく解説しています。


経営判断原則で裁判所が確認するポイント

経営判断原則の定式は裁判例によって一様ではありませんが、実務上は、少なくとも次の観点を分けて確認すると整理しやすくなります。

確認する観点 主な検討内容
判断時点 後から判明した事情ではなく、意思決定時に合理的に把握できた事実を基準にする
情報収集・調査 必要な資料を集め、重要な前提事実を確認したか
検討過程 代替案、利点、不利益、リスク、資金負担を比較したか
判断内容 会社の目的・規模・財務状況等に照らし、選択が著しく不合理ではないか
利害関係 取締役又は関係者の自己利益が判断をゆがめていないか
手続・社内規律 必要な取締役会決議、社内規程、限度額、報告手続を守ったか

判断当時に必要な情報を集めたか

経営判断の前提となる事実に重大な誤りがあれば、その後の比較や結論が形式上整っていても、判断全体の合理性が損なわれます。取引相手の財務状況、対象会社の価値、契約条件、資金需要、回収可能性、法的制約など、その判断にとって重要な事項を調査したかが問題になります。

ただし、あらゆる事実を無制限に調査しなければならないわけではありません。必要な調査の範囲は、金額、会社規模、緊急性、取引の複雑さ、既存の情報、専門部署の有無などによって変わります。少額で日常的な取引と、会社の存続に影響する大型投資では、求められる確認の程度が異なります。

代替案とリスクを比較したか

一つの案だけを前提に結論を急いだのか、何もしない場合を含む複数の選択肢を比較したのかは重要です。例えば、子会社支援であれば、追加融資、増資、保証、事業売却、清算等の選択肢があります。M&Aであれば、任意買取り、株式交換、第三者への売却、現状維持などが考えられます。

すべての代替案について精密な数値計算が必要とは限りません。しかし、会社に重大な負担を生じさせる判断であるのに、比較対象も撤退基準もなく、「これしかない」と決めた場合には、検討過程が問題になり得ます。

適切な会議・決裁を経たか

取締役会や経営会議で、判断に必要な資料が配布され、反対意見や質問を含む実質的な検討がされたかを確認します。議事録に結論だけが記載されていても、配布資料、稟議書、メール、会議メモなどから実際の検討内容が分かることがあります。

反対に、支出後に承認を取り付けた、重要な契約条件を取締役会へ示さなかった、関係者との利害関係を伏せたといった事情は、判断過程の合理性を損なう方向に働きます。

判断内容が著しく不合理ではないか

十分な手続を踏んでも、会社の利益と結び付かない支出や、得られる利益に比べて負担が極端に大きい取引など、判断内容そのものが著しく不合理であれば責任が問題になります。

もっとも、裁判所が経営者に代わって「最善の選択」を決めるわけではありません。合理的な選択肢が複数ある場面では、結果的に最も有利でなかったとしても、直ちに任務懈怠とはいえません。問題は、判断当時の会社の状況から見て、許容される裁量の範囲を明らかに外れていたかです。

専門家の意見をどう利用したか

弁護士、公認会計士、税理士、金融機関、事業専門家等の意見を得たことは、慎重な検討をした事情になり得ます。しかし、専門家に不正確又は不十分な情報しか伝えていなかった場合、結論ありきの依頼であった場合、意見書の前提条件を無視した場合には、その意見を責任回避の根拠として使いにくくなります。

専門家の意見書は「免責証明書」ではありません。誰に、何を依頼し、どの資料を渡し、どの前提と留保の下で回答を得たのかまで確認する必要があります。

経営判断原則が問題になりやすい場面

経営判断原則は、将来予測や複数の選択肢の比較を伴う場面で問題になりやすい考え方です。代表例として、次のような意思決定があります。

  • M&A・事業再編:買収価格、子会社の完全子会社化、株式交換、事業譲渡など
  • 投資・新規事業:新規設備、研究開発、店舗展開、撤退時期など
  • 資金調達・資金運用:借入れ、増資、デリバティブ取引、余裕資金の運用など
  • 子会社・関連会社への支援:融資、債務保証、債権放棄、追加出資など
  • 危機対応:不祥事発覚後の公表、回収、事業継続、損害拡大防止など

これらの判断には裁量が認められますが、取引の名称を経営判断と呼べばよいわけではありません。例えば、実体のないコンサルティング契約を締結して関係者へ資金を流出させる行為は、通常の投資判断とは性質が異なります。また、法令や定款、株主総会決議に反する行為も、経営上の裁量だけで正当化できるものではありません。


アパマンショップ事件で示された判断

経営判断原則を理解する上で重要な裁判例が、アパマンショップ株主代表訴訟に関する最高裁第一小法廷平成22年7月15日判決です。

事業再編に伴う非上場株式の買取価格が問題になった

会社は、グループ再編の一環として、約66.7%を保有していた非上場会社を完全子会社化するため、他の株主から株式を任意に買い取ることにしました。対象会社の設立時の払込金額は1株5万円でした。

株式交換に備えて算定された対象株式の評価額は、1株9709円とするものや、6561円から1万9090円とするものがありました。それでも会社は、事業上重要な加盟店等との関係を保ちながら円滑に取得するため、1株5万円で3160株、総額1億5800万円を買い取りました。

主な数値 内容
会社の保有割合 約66.7%
外部算定の評価額 1株9709円、又は6561円~1万9090円
実際の任意買取価格 1株5万円
買取株数・総額 3160株・1億5800万円

最高裁は善管注意義務違反を否定した

最高裁は、完全子会社化を含む事業再編計画の策定は、将来予測を伴う経営上の専門的判断に委ねられるとしました。そして、株式取得の方法や価格についても、株式評価額だけでなく、取得の必要性、会社の財務負担、円滑に取得する必要性などを総合して決めることができ、その決定の過程・内容に著しく不合理な点がない限り、善管注意義務違反にはならないと判断しました。

具体的には、任意買取りが円滑な完全子会社化の方法として合理的であったこと、設立から約5年の非上場株式について払込金額を基準とすることに一定の合理性があったこと、株主に重要な加盟店等が含まれ、友好関係の維持が事業上有益であったこと、非上場株式の評価には幅があったことなどが考慮されました。

また、役付取締役全員で構成される経営会議で検討し、弁護士の意見も聴取していました。最高裁は、決定過程にも不合理な点はないとして、取締役の責任を否定しました。

この判決は、「評価額より高く買っても常に問題ない」としたものではありません。事業再編の目的、相手株主との関係、評価の幅、財務負担、会議での検討、専門家意見など、事案固有の事情を総合して責任を否定したものです。

少数株主側が読み取るべき点

少数株主側にとって重要なのは、価格差だけで責任の有無を決められないという点です。価格算定書がある場合でも、算定目的、評価方法、前提、評価時点が異なれば数値は変わります。そのため、次の点まで確認する必要があります。

  • なぜその取引が必要だったのか
  • なぜその取得方法を選んだのか
  • 価格差を認識した上で、どのような事業上の利益を見込んだのか
  • 会社の財務負担に耐えられると判断した根拠は何か
  • 取締役会等へどの資料が示され、どのような質問・検討がされたか

責任が認められ得る場合との違い

アパマンショップ事件で責任が否定されたからといって、経営上の判断であれば広く免責されるわけではありません。調査不足、社内規律違反、重要情報の隠蔽などがある場合には、責任が認められることがあります。

ヤクルト株主代表訴訟―社内の限度額を超えた資金運用

東京高裁平成20年5月21日判決では、デリバティブ取引により533億円余の損失が生じた事案が問題になりました。裁判所は、資金運用を担当する取締役について、会社が定めた想定元本の限度額を超えて取引を拡大し、実質的な取引規模が分からない形で報告していたことなどから、善管注意義務違反を認めました。

一方、担当取締役以外の取締役や監査役については、当時の管理体制や報告内容、隠蔽の状況などを踏まえ、責任を否定しました。巨額の損失が生じたことだけで全役員の責任を一律に認めたわけではありません。

この事件からは、社内限度額や決裁条件がある場合、それを無視した取引は単なる経営上の選択とは評価されにくいこと、また、複数役員の責任は担当、受けた報告、異常徴候の有無に応じて個別に判断されることが分かります。他の取締役の監督責任は、取締役の監督・監視義務と内部統制で解説しています。

福岡魚市場事件―子会社支援の前提調査が不十分だった

福岡地裁平成23年1月26日判決では、100%子会社の不良在庫や借入金の増加が問題となる中、親会社が子会社の債務を保証し、合計19億1000万円を貸し付けるなどした行為が争われました。

裁判所は、在庫や損失額について十分な調査をせず、再建計画の前提を検証しないまま保証・貸付けを進めた点などについて、経営判断として合理的であったとはいえないとして責任を認めました。判断の前提となる情報の確認が不十分であれば、形式上は子会社救済という経営目的があっても責任が否定されるとは限りません。

他方、同事件では、後の債権放棄については、その時点で子会社の状況を把握した上で事業継続等を考慮した判断として、責任が否定された部分もあります。同じ会社・同じ子会社支援の中でも、判断時点と調査状況が異なれば結論が分かれ得ることを示しています。


経営判断原則だけでは処理できない場面

次のような場面では、通常の経営上の裁量判断と同じ枠組みだけで処理せず、法令違反、利益相反、監督義務等を別に検討する必要があります。

  • 法令・定款・株主総会決議に反する行為:会社を法令違反に導く行為は、利益が見込まれたというだけで正当化できません
  • 取締役自身又は関係者との利益相反:承認手続、重要事実の開示、価格・条件の公正性を確認します
  • 虚偽説明や重要情報の隠蔽:取締役会や専門家が誤った前提で判断した場合、形式的な承認は十分な根拠になりません
  • 社内規程・限度額の無視:権限基準、投資上限、与信枠、決裁条件への違反は重要な事情になります
  • 不作為・監督不足:他人の不正を放置した責任は、積極的な投資判断とは異なる観点から検討します

利益相反がある場合に、あらゆる事案で経営判断原則が一切問題にならないとまでは単純化できません。しかし、独立した立場で会社利益のためにした通常の判断と同じように扱われるとは限らず、取引の承認、情報開示、取引条件の公正性が中心的な争点になります。詳しくは、取締役の利益相反取引と会社法356条をご覧ください。

「経営判断」という言葉は、違法行為、私的流用、利益相反、虚偽報告を覆い隠すための万能な抗弁ではありません。まず、問題行為が本当に将来予測を伴う経営上の選択なのかを区別する必要があります。

少数株主が確認すべき証拠

経営判断原則が争点になる事案では、後から取締役が述べる説明よりも、意思決定時に存在した資料が重要です。資料は「当時の判断過程」と「事後に作られた説明」を分けて整理しましょう。

確認項目 主な資料
目的・必要性 事業計画、稟議書、提案書、予算、取締役会資料
前提事実 財務諸表、デューデリジェンス資料、調査報告、契約書、相手方資料
価格・条件 株価算定書、見積書、比較表、交渉記録、融資条件
代替案 複数案の比較資料、撤退案、現状維持案、反対意見
意思決定過程 取締役会・経営会議の議事録、配布資料、メール、会議メモ
専門家意見 依頼文、提供資料、意見書、前提条件、留保事項
利害関係 株主関係、役員兼任、親族関係、報酬・紹介料、関連会社登記
損害・因果関係 支払記録、評価損、回収額、売却額、事後の是正費用

判断過程に疑問を生じさせる兆候

次のような事情がある場合には、詳しい資料確認が必要です。

  • 結論だけが決まっており、前提資料や比較資料がない
  • 外部評価額と大きな差があるのに、その理由が記録されていない
  • 支出又は契約締結の後に、取締役会の承認を得ている
  • 反対意見、リスク、撤退条件が議事録から消えている
  • 専門家へ重要な不利益情報を伝えていない
  • 相手方との資本関係・親族関係・報酬関係が開示されていない
  • 社内の限度額や権限基準を避けるため、取引を分割している
  • 当時の資料と、訴訟後に提出された説明の内容が一致しない

ただし、一つの兆候だけで責任が確定するわけではありません。意思決定前後の時系列を作り、資料の作成日、作成者、配布先、承認日、支払日を照合することが重要です。


取締役責任の見込みを検討する手順

経営判断が問題となる事案では、次の順序で整理すると、結果論に偏らず責任の見込みを検討できます。

  1. 対象となる意思決定を特定する:契約、支出、融資、投資、債権放棄等について、決定日、実行日、決定者を分けます。
  2. 判断時点の情報を復元する:その時点で分かっていた事実、合理的に調査できた事実、後から判明した事実を区別します。
  3. 判断過程を確認する:資料収集、代替案比較、会議、反対意見、専門家意見、承認手続を整理します。
  4. 判断内容を検討する:会社の目的、財務状況、期待利益、負担、リスクに照らし、著しく不合理な選択だったかを検討します。
  5. 利益相反・法令違反等を切り分ける:通常の経営裁量とは別に検討すべき問題がないか確認します。
  6. 会社損害と因果関係を計算する:支出額の全額が直ちに損害になるとは限らないため、得られた価値、回収額、回避可能性を確認します。
  7. 責任追及の手段を選ぶ:会社への調査・是正要求、提訴請求、株主代表訴訟、交渉その他の手段を比較します。

株主代表訴訟は、会社が取締役の責任を追及しない場合に、株主が会社のために責任を追及する制度です。賠償金の支払先は原則として会社であり、提訴請求等の手続要件があります。制度全体は、株主代表訴訟とはで確認できます。

責任追及を急いで取締役へ問いただすと、議事録、メール、算定資料等が散逸するおそれがあります。資料の所在と保存方法を検討し、必要に応じて専門家へ相談した上で進めることが大切です。


よくある質問

経営判断原則は会社法の条文に書かれていますか

経営判断原則という名称の条文があるわけではありません。取締役の善管注意義務違反や会社法423条の任務懈怠責任を判断する際に、裁判例上用いられている考え方です。

会社に巨額の損失が出ても取締役は責任を負わないのですか

損失額だけでは責任は決まりませんが、巨額の取引であるほど、情報収集、リスク評価、会議・決裁、撤退条件等の慎重な検討が求められやすくなります。判断過程又は内容に著しく不合理な点があり、それによって会社に損害が生じた場合は、責任が認められ得ます。

弁護士や公認会計士の意見を得れば免責されますか

自動的に免責されるわけではありません。専門家の専門性、依頼事項、提供した情報、意見の前提、留保、取締役が意見をどう検討したかが問題になります。重要情報を隠して得た意見や、意見の前提を無視した判断は、有力な防御材料にならない可能性があります。

利益相反取引にも経営判断原則は適用されますか

一律に断定することはできませんが、取締役自身又は関係者の利益が絡む場合は、通常の独立した経営判断とは異なり、承認手続、重要事実の開示、取引条件の公正性を重点的に検討します。「会社のための判断だった」という説明だけでは足りません。

他の取締役や部下を信頼した場合も責任を負いますか

会社の合理的な分業体制の下で、担当者や専門部署を信頼することが許される場面はあります。ただし、明らかな異常徴候、報告の矛盾、管理体制の欠陥を認識しながら放置した場合は別です。役職、担当、受けた報告、調査可能性を個別に確認します。


まとめ

  • 経営判断原則は、損失という結果ではなく、判断当時の過程と内容を重視する考え方です
  • 情報収集、代替案比較、会議・決裁、専門家意見、利益相反の有無が主な判断材料です
  • アパマンショップ事件では、事業再編の目的や検討手続等を踏まえて取締役責任が否定されました
  • 社内限度額の無視、調査不足、虚偽説明等があれば、経営判断でも責任が認められ得ます
  • 少数株主側では、意思決定時の資料を時系列で整理し、会社損害と因果関係まで確認する必要があります

経営判断原則が争われる事案では、取締役側が「当時は合理的だった」と説明し、株主側が「必要な調査も比較もなかった」と争うことが多くあります。結論を予測するには、契約書や損失額だけでなく、決裁前に存在した資料、会議での説明、専門家への依頼内容、関係者の利害関係を一体として確認することが重要です。

坂尾陽弁護士

経営判断の責任を検討するときは、結果から遡って非難するのではなく、決裁当時の資料で判断過程を再現します。資料が会社側に偏っている場合は、証拠の確保と請求手段を先に設計しましょう。

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