はじめに:少数株主とは何か
少数株主とは、議決権総数の過半数に届かない株式を保有する株主を指します。典型的には、数パーセント~最大でも半数未満の保有比率が多く、支配株主や大株主と比べると配当や発言力で不利となるケースが多いです。
非上場会社の場合、市場取引がないため株式の評価や売却が困難で、特に相続・事業承継で取得した株式をどうするか悩む方が少なくありません。
Contents
少数株主の基本定義
少数株主とは、議決権総数の過半数に届かない株式を保有する株主を指します。典型的には、数パーセント~最大でも半数未満の保有比率が多く、支配株主や大株主と比べると配当や発言力で不利となるケースが多いです。
非上場会社の場合、市場取引がないため株式の評価や売却が困難で、特に相続・事業承継で取得した株式をどうするか悩む方が少なくありません。
なぜ「少数株主」は注目されるのか
同族会社や閉鎖的な会社では、経営権を握る株主が配当を自由に決めたり、情報を開示しなかったりして少数株主を軽視する傾向がみられます。議決権が乏しいからといって意見を通しづらい、あるいは株式を買い取ってもらえず放置されるなど、多くの方が不満や不安を抱えたままです。
こうした状況に対応すべく、会社法では**少数株主が持つ一定の権利(会計帳簿閲覧請求など)**を定め、過度な不利益から保護しています。
少数株主の権利一覧
会計帳簿閲覧請求権(会社法433条)
3%以上(又は定款がそれ以下に定めればその比率)の議決権を保有していれば、会社に対して会計帳簿や関連書類の閲覧・謄写を請求できます。会社が不正に経費を計上している、役員報酬が不自然に高いなどの疑念を解消し、交渉材料とするうえで重要な権利です。
株主総会招集請求・議案提案権(会社法297条など)
少数株主が条件(3%以上の議決権など)を満たせば、総会を開くよう取締役に請求できます。会社が応じない場合でも、裁判所の許可を得て自ら招集可能です。普通決議を取れるかは別としても、経営陣に情報開示や議論を促す効果があります。
株主代表訴訟(会社法847条)
会社が取締役の不正行為や法令違反に対して責任を追及しないとき、少数株主が会社に代わって訴訟を起こせます。背任や横領などの重大な不正を摘発し、取締役に損害賠償を求める道を確保することで、経営の透明性を担保する制度です。
反対株主の株式買取請求権(会社法785条等)
合併や株式交換など、会社が大きく組織再編をする場合、反対する株主が公正価格で株式を買い取ってもらえる手続き(いわゆる株式買取請求)があります。非上場企業では売却先を探しにくいだけに、買取請求権が一種の「脱出口」となるケースも珍しくありません。
少数株主が直面しがちな問題・トラブル
配当が少なく、メリットが感じられない
配当は株主総会決議(出席株主の過半数)によって決められます(会社法454条)。議決権の少ない株主は配当増を要求しても否決されやすく、利益が出ていても配当をもらえないという不満が蓄積しがちです。
経営情報が開示されない
上場会社と違い、非上場会社には開示義務がほぼありません。帳簿閲覧権を行使しようとしても「拒否」される事案も多く、トラブルの温床となります。最悪の場合、経営者が会社資金を私的流用するなどの不正に結びつくおそれもあります。
相続・税務リスク
少数株式は配当収入が乏しいわりに、相続税評価が高額になるケースがあります(財産評価基本通達に基づく評価方式)。大日本除虫菊事件のように、配当が数十万円程度しか見込めない株式に数千万円~億単位の評価がつくこともありえます。
大株主との対立
「言いたいことがあっても議決権が圧倒的に少ない」「株主総会の議案も賛成多数で通ってしまう」など、実質的に発言力がない状況で不満が募ります。譲渡を求めても「いらない」と拒絶される場合、法的手段の検討が不可欠です。
参考判例:東京地裁平成26年9月26日決定
第三者への譲渡を承認しない会社に対し、株式売買価格決定の申立てを行った事案。裁判所は配当還元法や純資産法、DCF法を複数組み合わせて公正な株価を算定しました。こうした手続きを踏むことで、会社が不当に安い価格を提示しようとしても、株主が適正評価を得られる可能性があります。
株式買取をめぐる交渉手順
第三者への売却打診と会社法140条
譲渡制限株式でも、第三者に売却する「承認」を会社が拒む場合、会社または指定買取人が株式を買わなければなりません(会社法140条)。拒否されたからといって取引が不可能になるわけではなく、会社側には買い取るか承認するかの二択が迫られます。
裁判所への売買価格決定申立て(会社法144条)
価格交渉が決裂した場合、株主は裁判所に「売買価格決定の申立て」を行えます。裁判所はDCF法や純資産法などを勘案し、客観的に公正な価格を算定。会社側が一方的に安値を押し付けるのを防ぎ、少数株主が正当な見返りを得られる仕組みです。
権利行使で交渉を優位に
帳簿閲覧請求権(会社法433条)や株主総会招集請求(会社法297条)などを実際に行使することで、会社に手間をかけさせ、早期の買収合意を促す戦略もあります。弁護士の助言のもと、どのタイミングでどの権利を行使すべきか見極めることが重要です。
弁護士による交渉サポート
法的知識や実務経験がないと、譲渡制限や手続き要件を踏まえた上での交渉は難航しがちです。弁護士が代理人として会社とのやり取りを進めることで、手続ミスを減らし、最終的な売却価格の引き上げや迅速な合意を期待できます。
少数株主に有効な解決策・実務例
会社側が拒否する場合の対処例
「うちの会社は絶対に株式を買い取らない」と言われるケースでも、法令(会社法140条など)や裁判手続きを駆使すれば、買い取りを迫る状況を作れます。帳簿閲覧請求や総会招集などで粘り強く対応し、最終的には会社が折れて協議に応じる事例も少なくありません。
相続税などのリスク回避
生前に売却して現金化しておくことで、将来的な相続税負担を軽減できる場合があります。相続発生後の調整は複雑になりがちなので、早期対応が望ましいでしょう。
判例を活用した交渉事例
前述の東京地裁のように、売買価格決定申立ての判例を示すことで会社側に「裁判になれば妥当な株価で買い取る義務が生じる」ことを理解させ、交渉を円滑化した例があります。法的根拠を提示することで、感情的対立が起きにくいのもメリットです。
配当不公平・不正支出の検証
帳簿閲覧請求(会社法433条)を行い、代表者の個人的支出が経費計上されていないか、実際の利益に見合う配当が出ているかを調査した事例も。これによって会社への交渉力を高め、株式買取を有利に進めたケースがあります。
弁護士に依頼するメリット
法的交渉力の向上
譲渡制限や裁判手続きは複雑なため、独力で対応すると会社側に翻弄されがちです。弁護士のサポートで、正確な法的ルールと交渉術を組み合わせ、少数株主の利益最大化を狙えます。
相続・税務を含む総合的な対応
非上場株式に伴う相続や贈与、税務問題はワンストップで解決する方が効率的です。弁護士が税理士や会計士と連携する事務所なら、株式売却と節税策の両立を図ることも可能です。
完全成功報酬プランなどの費用面
当事務所では案件に応じて完全成功報酬プランを検討しています。着手金が心配という方も相談しやすく、費用リスクを抑えつつ売却成功を目指せます。
心理的な負担軽減
大株主との直接交渉は精神的ストレスが大きく、親族間や取引先との関係がこじれることもあります。弁護士が窓口となることで、当事者同士の感情的な衝突を回避し、論点を法的に整理できるのが大きな利点です。
まとめ・お問い合わせ
早めの行動がカギ
少数株主が抱える問題は放置していると相続税負担や親族トラブルが膨らむ可能性があります。適正価格での売却や、会社との交渉による和解を実現するためにも、早めに専門家に相談することをおすすめします。
アイシア法律事務所へのご相談
当事務所(東京都中央区銀座)は、四大法律事務所出身の弁護士を中心に設立され、非上場株式の売却・買取トラブルを数多く取り扱ってきた実績があります。交渉・裁判手続きなど、粘り強いアプローチで少数株主の権利を守ります。
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よくある質問(FAQ)
坂尾陽弁護士
少数株主としての悩みは、適切な法的手段を踏めば解決可能です。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的アドバイスを行うものではありません。具体的な事案については、必ず専門家へご相談ください。